宇宙インフレーション期に、私たちは本当に隣人から孤立していたのか?

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 初期宇宙、すなわちビッグバン直后の时代において、宇宙が指数関数的な膨张を遂げたインフレーション期を経たとする説が広く受け入れられています。このインフレーション期には、量子ゆらぎが増幅され、その后、重力的に崩壊して原始ブラックホール(笔叠贬)を形成する可能性があります。

 笔叠贬の形成を予测するために、広く用いられている理论的枠组みの一つが「セパレートユニバース近似」と呼ばれるものです。この手法では、インフレーション宇宙を、一様宇宙のパッチワークとして记述します。计算を大幅に简略化できる利点がありますが、ゆらぎを大きく増幅する超スローインフレーションモデルに适用すると大きなエラーが生じると考えられていました。

 この問題に対し、田中貴浩 理学研究科教授、Danilo Artigas 同日本学術振興会特別研究員、 Shi Pi 北京大学教授からなる共同研究グループは、各一様宇宙に空間曲率を持たせられるように定式化を拡張することで解決できることを示し、より広範なモデルに「セパレートユニバース近似」が適用できることを明らかにしました。これにより、PBHの形成量を簡便、かつ、正確に予測する手法が提供されます。

 本研究成果は、2025年6月3日に、国際学術誌「Physical Review Letters」に掲載されました。 

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インフレーション中に、量子ゆらぎが増幅される様子を模式的に表している。赤い领域は高密度领域、黄色い领域は低密度を表す。极端な高密度领域はブラックホールに崩壊し、原始ブラックホールを形成する可能性がある。
研究者のコメント
「この拡張されたセパレートユニバースアプローチを用いることで、初期宇宙に生成される原始ブラックホール量のモデル依存性を容易に予測できるようになりました。将来的には、様々なインフレーションモデルの観測制約との比較によるテストに利用されることを期待しています。」(Danilo Artigas)
研究者情报
研究者名
田中 貴浩
研究者名
Danilo Artigas